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Hejira

Hejira

Hejira

1974年あたりからジャズなどさまざまな音楽的要素を取り入れてきたジョニ・ミッチェルだが、76年の本作は、それらを完璧に血肉化、深化した大傑作。基本的に本人によるギター・ヴォーカルと、ジャコ・パストリアスによる超絶的技巧の味わい深いベースがメイン。シンプルなだけに聴き手の脳裏に深く浸透し、荒涼としつつも美しい世界を表出させる、透明感のある素晴らしい音楽が展開される。寒い土地を旅するような、湿度の低い哀愁の雰囲気の曲が並ぶなか、唯一穏やかな<8>が、まさしく荒野のモーテルの暖炉のごとく暖かい。(麻路 稔)

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“shine”を待ちながら

表題曲はこれまでに三度録音されている。初出がこのアルバム、二番目が80年のライヴ“Shadows and Light”。そして最新のバージョンが2002年の(ジョニが「引退作」と称した)“Travelogue”収録版である。ジョニのファンならばその全てを愛聴されている筈だが、もし未聴の方は是非聴き比べていただきたい。
すでに語り尽くされているように、このアルバムにおける“Hejira”はこの時期の彼女を代表する録音であり、もっともミニマルな編成でもっとも瑞々しさに満ちている。とかくジャコのベースラインで語られがちな曲だが、イントロのジョニのギター、そしてロードムーヴィーのような淡々とした歌唱も素晴らしい。
だが恐らくもっとも常人に触れがたい高みにあるのは、この曲の広大無辺な詩世界ではなかろうか。日本人には理解の難しい言い回しも多いが、詩人ジョニはこの曲で孤高の高みに達したと思う。安息を求める魂の流浪を歌う、その詩には、70年代半ばの米国社会の空虚さがよく現れていた。

2007年秋には待望の新作“shine”がリリースされるという。それは9.11以降の世界情勢にインスパイアされたものだとも聞く。“Hejira”でもっとも力強い歌唱が聴けるのが2002年版であるように、彼女の表現力は齢を重ねても衰えを知らず、内に秘めた攻撃性も未だ失われることがない。最高傑作とも思えたこのアルバムですら、ジョニにとっては通過点に過ぎないのである。

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荒涼たる原野を疾走してゆく、そのクールさ。

 
 不思議なコード感のカッティングで始まる「Coyote」・・・。

 そのサウンドと歌詞の世界に取り込まれた瞬間、何が起こっているのかわからなかった。

 とにかく素晴らしい音楽が奏でられていることはわかる。

 ジャケットのアートワークとサウンドが渾然一体となって、とてもプライベートな心情と感性に、散々打ちのめされるひと時。

 傑作と言ってしまうのは簡単だが、ジョニの無頼漢な姿とサラッとした生き様は、そんじょそこらのロッカーではとても太刀打ちできない「かっこよさ」。

 ここを突き詰めていけば、違うジャンルの音楽まで創造できたように思うが、結局彼女はジャズのライン以上から踏み出してゆくことは無かった。

 それでもこのアルバムには未だ幾つもの「謎」があるし、未来の音楽の「種」になる要素も確実に感じられる。


 

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ジョニの声がジャコのベースと絡む一体感!

ジョニ・ミッチェルは昔からよく聴いていた。
何故だかわからないが、このアルバムだけは聞き逃していた。

普通、ベースがこれだけ出てくると、シンガーの声ではなく、ベースの方が
目立ってしまうのだけれども、「ミンガス」というジョニのアルバムでもそうなのだが、
ジャコ・パストリアスのベースが、上手くうねってジョニのボーカルと絡みついて、
(というか、ジョニの声がジャコのベースをうまく巻き付けているといった方が
いいのかもしれないが)いいようのない一体感を醸し出している。

歌姫が、気持ちよくその翼を大きく広げて自分の詩を歌っている。

ジョニの通常のアルバムと違うアトモスフィアの中で、すこ〜んと抜けた素晴らしい作品。

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52分間の孤独と向き合う旅へ

初め聴いた時は地味めなアルバムだなぁと思ったのですが、いろいろ音楽を聴き漁った後に再び聴いたら素晴らしい作品だと気付きました。冷たい触感を伴えつつも人間の温度が垣間見られ1曲1曲じわじわ心に染み入ってくる感じ。アルバムの途中で止めれないトータル感。ジャケットのモノトーン調で乾いた感じと曲、歌詞もぴったりフィットしている一つのアートな芸術的傑作品。(国内盤は対訳が付いてるのでさらにお薦め。)

この作品に早いうちに会えて良かった。乗車チケット等がなくても、プレイヤーさえあれば簡単にトリップ(逃避行)に出れるから。
バカンスでも観光旅行でもなく、ただひたすら自分と向き合う為の旅ですが。

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ジャコのベース

私にはベースの師匠が2人いる。ひとりはStanley Clarke、もうひとりはJaco。Stanleyには技術面を、そしてJacoにはフィーリングを教わった。70年代中頃、北米に殿番として君臨するJoniが「新アルバムを作りたい」と一言漏らした途端に、StanleyだとかLenny Whiteなどの「Return to Forever」組がリハーサルに馳せ参じたものの、いざ本番になるとJacoやJohn Guerinなどにすっかり入れ替わっていたという伝説を残した作品。この彼女の先見の明が確かなものだったことが今さらながら再認識される。特に、ラストナンバーにおけるジャコのベースは衝撃だった。最初はホルンか何かかと思っていたのであるが、それがジャコのベースの音だと分かったのは数年たってからである。メロディアスなフレーズを高音で奏しながらも、本来のベースの仕事もしっかりとこなしているではないか。ジャコの本領が十分に発揮されているだけでなく、ジョニ本人としても、多彩なメロ、リズム、12弦ハンマリング奏法など、最盛期の輝かしさがここに記録されている。もしStanleyがベースを担当していたら、なんぞといった想像力もかきたててくれる最優秀作品。

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