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言語の発展―国際語エスペラントの観点から

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エスペラントについて論じた博士論文の邦訳

本書は、世界的に有名な言語学者のアンドレ・マルティネのもとで学んでいたフランソワ・ロ・ジャコモ氏が、1981年にパリ大学第3系(言語学)に提出した、エスペラントについて論じた博士論文を、フランス語から邦訳したものです。

エスペラントについてよく知らない人たちにとっては、エスペラントについて論じた論文が博士論文として受理されるなどということは信じられないかもしれませんが、そういうことはときどきある事なんですね。

そもそもアンドレ・マルティネという人は、20世紀半ばに、エスペラントより優れた人工語を作ることを目的とした団体に所属していたこともある人です。
(結局マルティネは、「思うように仕事をさせてくれない」という理由で、その団体を途中で脱退しましたが、その団体は1951年に Interlingua という人工語を発表しました。
この人工語は、今でも少数の支持者によって使われており、ウェブ上には Interlingua の団体のサイトがありますし、Wikipedia には Interlingua で書かれた記事が多数あったりします。)
そういう人ですから、マルティネは逝去するまで、エスペラントを含む人工語一般に対して、かなりの理解を示していた人物でした。

ところで論文の内容ですけれども、エスペラントの知識が無い人には、まったく面白くないだろうと思います。
エスペラントを2〜3年勉強してから読めば、得るところが多いと思われますね。

それから私の感想ですけれども、ロ・ジャコモ氏は結論として「エスペラントの発展は、自然に任せるべきだ」とおっしゃってるんですが、私はこれには反対なんですね。

もちろん、同氏が本書であげている程度のことは、自然に(あるいはエスペラント使用者に)任せておけば良いのかもしれません。

しかし、同氏が指摘していない問題が、エスペラントにはあります。
エスペラントは発表されてから120年もたってるわけですが、私の目から見ますと、ほんのわずかながら不足・混乱している部分があるように思われるのです。
つまり、自然に任せていたのでは、このような部分は、いつまでたっても改善されないように思うんですね。

もちろんすでにエスペラントは、さまざまな分野で実用され、さまざまな書籍・雑誌が刊行されていることは事実なんですが、しかし少数ながら不足・混乱している部分があるせいで、本来発揮できるはずの力を出せていないように思われるのです。

私はこのように考えているので、このような不足・混乱している部分を(自然に任せるのではなく)意識的・積極的に改善していくべきだと思っているのですが、しかしいずれにせよ、エスペラントについて論じた真面目な論文が日本語で読めるということは、とても素晴らしいことだと思います。

この場を借りて、この論文を訳された水野氏の努力に、大いに感謝する次第です。

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