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落語名人選 愛宕山/船徳
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赤いものをちらちらさせて
幇間の噺は文楽師匠が得意とするところです。
私は中でもこの「愛宕山」が好きですね。
文楽師匠は声が綺麗で、ご婦人方が
「赤いものをちらちらさせながら」登る様子が眼に浮かぶようです。
特に主人公の一八が登る際の、苦しい息の演出は
心臓に負担をかけるから止めるようにと主治医から再三諌められていたそうです。
他には古今亭志ん朝師匠くらいしか演じておられないと思うので
ぜひ聞いてみて下さい。
枝葉を完全に切り落とした純化された噺。
「愛宕山」は、これは、よく考えれば物理的にありえない噺であって、奇想天外、コミックものである。しかし、それをさも現実にありそうな話に仕立て上げたのは、文楽師匠が、無駄な説明や、演出を排除して純化させたからであろう。
「船徳」は、本当は、江戸時代の設定の方がよかったのかもしれないが、「こうもり傘」を登場させることで、明治のお話に切り替えてある。こちらも、これ以上ないくらい切り詰めてある。
問題は、この文楽師匠の演出は、現代では、通じにくくなっているところだろう。後年、この同年代の噺家が手をつけなかった大ネタに古今亭志ん朝がチャレンジし、充分な背景を説明しつつ、初めて聞いた人にもすぐに分かるようにしつつ、かつ、それが過剰な説明でもないという絶妙な演出に変えたことで、これら二つの話は「文楽」だけで無くなった。
これは悲しむべきことなのだろうか?
いや、落語界の為には、大きな前進だったと思う
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