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桂文珍(8)手水廻し/愛宕山

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手水廻し・愛宕山

「手水廻し」は、手水の意味の分らない田舎者のドタバタ劇で、大して面白い噺では無いが、そこは文珍だけあって、ソコソコ笑える噺に仕上げている。然し、この噺は、殆どが田舎の旅館の主人と板前の会話で占められ、且つ、その中身が"手水"を中心とした話なので盛上げ難く、演者からすれば厄介な噺である。文珍も、その辺りを心得ていて、マクラで相当引張っている。私自身は、マクラの方が面白かった様に感じる。次の「愛宕山」だが、これは如何な文珍と言えども、志ん朝には敵わなかった。志ん朝は、正統であるにも関わらず、絶妙の話芸で、旦那と幇間との会話を非常に上手く演じている。文珍は、デフォルメをする事で面白さを出そうとして居るが、文珍にしては、中途半端な物になって居てちょっと精細さに欠けている様に感じられる。ただこの噺は、山登りに始まって、目で見て楽しむ噺である為、音声だけで判断するべき物ではないかも知れない。勿論、私は、文珍が下手に演じている等と言う積りは全く無い。これだけの愛宕山を演じられれば、立派な大真打である。それだけに、志ん朝の話芸の凄さを、改めて思い知った口演で有った。

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